第3回受賞者

*先生のご所属は、ご応募当時となります。

氏名・所属/研究題名/研究概要 助成金額
久保 亮治(慶應義塾大学 准教授) 500万円
長島型掌蹠角化症の病態解明と治療法開発
日本人の約1万人、アジア人の数十万人が罹患する長島型掌蹠角化症の病態を解明し、治療法を開発することを目的に研究を行う。我々が同定した本症の原因遺伝子SERPINB7のノックアウトマウスでは、本症は再現されなかった。
そこで本症の病態解明のため、患者サンプルを材料とした以下の解析を行う。

1.患者手足の細菌叢解析を行い、悪臭の原因となる菌を同定し治療ターゲットとする。

2.患者手足角質のプロテオミクス解析により、治療ターゲットとなり得るシグナル経路異常を探索するとともに、患者手足で活性過剰化したプロテアーゼと過剰分解された基質を探索し、分子病態の解明を目指す。

3.SERPINB7欠損により活性化するシグナル経路をin vitroで解析するために、ヒトの手足皮膚を再現する表皮オルガノイドの作成に挑戦する。

松下 貴史(金沢大学 講師) 500万円
全身性強皮症におけるB細胞を標的とした新規治療法の開発
全身性強皮症の病態にはB細胞が強く関与しており治療標的と考えられている。しかしながらB細胞は均一な細胞集団ではなく、相反する2つのサブセットが存在することが近年明らかとなった。すなわちEffector B 細胞はIL-6産生を介して強皮症の病態を促進し、反対にRegulatory B細胞はIL-10産生を介して抑制する。よって強皮症において全てのB細胞を除去するよりも、Regulatory B細胞を温存しEffector B細胞のみを除去する選択的B細胞除去療法がより有効である可能性が示唆される。本研究では各B細胞の網羅的遺伝子解析ならびにシグナル伝達解析を行い、選択的B細胞除去療法の開発を目指す。
浅井 純(京都府立医科大学大学院 講師) 250万円
がんオルガノイドを用いた皮膚悪性腫瘍細胞株の樹立と新規治療法の開発
本邦において、皮膚悪性腫瘍の多くは希少がんであるため、新規治療法開発を目的とした臨床治験を行うことが困難であり、進行期における標準的治療が確立されていない。また悪性黒色腫を除くと多くの皮膚悪性腫瘍が細胞株さえ樹立されておらず、基礎研究を行うこともままならない状況である。そこで本研究では、がんオルガノイドという新しい三次元培養技術を用いて、今まで極めて困難とされてきた皮膚悪性腫瘍の細胞株樹立を目指す。そして樹立したがんオルガノイドを用いて、遺伝子解析、薬剤感受性試験による有効な薬剤の抽出、新規治療薬の開発等を行う予定である。また、免疫不全マウスへのがんオルガノイド移植による担癌マウスの作成や三次元培養皮膚を用いたin vitroがん浸潤モデルの作成についても検討し、皮膚悪性腫瘍の転移や浸潤メカニズムの解明を目指す。
伊藤 泰介(浜松医科大学 病院准教授) 250万円
抗NKG2D抗体を用いた円形脱毛症に対する新規治療法の開発
NKG2DはCD8+T細胞やNK細胞、T細胞に発現しており、ターゲット細胞に発現しているMHCクラスI関連A鎖およびB鎖タンパク質 MICA/BやULBP1-6(ヒト)、H60(マウス)をリガンドとして活性化する。円形脱毛症は、MICA/BなどのNKG2D ligandを発現する表皮細胞がMHC class Iを介して提示する毛包自己抗原に対するNKG2D+CD8+T細胞の自己免疫反応である。
よってT細胞上のNKG2Dや上皮細胞に発現するMICA/B発現、もしくは可溶性MICA/Bを制御することが円形脱毛症の治療選択肢として期待される。またバイオマーカーとして可溶性MICA/Bを捉えることも可能かもしれない。今回、円形脱毛症モデルマウス(C3H/HeJ)におけるNKG2D分子の円形脱毛症の病態形成への重要性を探りながら治療へのつながりを検討していくことに大いなる研究の意義があると考えている。
氏家 英之(北海道大学病院 講師) 250万円
加齢に着目した新たな自己抗体産生機序の解明
自己免疫疾患の発症機転、すなわち免疫自己寛容が破綻する機序は未だ大部分が不明である。考えられる機序の一つとして、加齢に伴う免疫系の変化すなわち「免疫老化」が挙げられる。水疱性類天疱瘡(BP)は、高齢者に好発する皮膚科領域の代表的な自己免疫性水疱症である。近年、高齢マウスに出現するCD11b/c陽性のB細胞サブセットが抗核抗体などの自己抗体産生に寄与することが明らかになってきた。しかし、このB細胞サブセットの臓器特異的自己抗体産生への関与は不明である。最近、制御性T細胞(Treg)の機能不全がBP自己抗体の産生を誘導することも明らかになってきた。そこで本研究では、野生型の高齢マウスやTreg欠損マウスおよびBP患者におけるCD11b/c陽性B細胞サブセットの機能解析を行う。
吉崎 歩(東京大学大学院 講師) 250万円
医工連携研究によって開発された微量タンパク解析技術による強皮症における自己抗原特異的B細胞の解析と新規治療ターゲットの同定
近年の研究により、B細胞は抗体産生のみならず多彩な機能を持つことが明らかとなってきた。自己免疫疾患においてもB細胞は重要な役割を担うことが示唆されている。全身性強皮症(SSc)は皮膚科領域における代表的な全身性自己免疫疾患であるが、有効な治療法がないため、患者のQOLは著しく障害されており、病態の解明と新たな治療法の開発が急務である。他の自己免疫疾患と同様、SScにおいても症状が明らかとなる前から疾患特異的な自己抗体が出現することから、その産生に与る自己抗原反応性B細胞は病態形成において重要な役割を担っていると考えられている。しかしながら、自己抗原反応性B細胞は生体内に僅かしか存在しておらず、従来の技術では直接的な解析が困難であった。本研究では、医工連携研究によって実現した微量タンパク分析を用い、SScにおける自己抗原反応性B細胞の機能を明らかとし、SScの病因解明と、新たな治療ターゲットの同定を目的とする。
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