第2回受賞者

*先生のご所属は、ご応募当時となります。

氏名・所属/研究題名/研究概要 助成金額
神人 正寿(和歌山県立医科大学 教授) 500万円
皮膚腫瘍における融合遺伝子の同定とその臨床応用
悪性黒色腫やパジェット病などの上皮系腫瘍、悪性リンパ腫や悪性末梢神経鞘腫瘍などの間葉系腫瘍、さらには脂腺癌などの付属器腫瘍に代表されるような、現代の実験科学の発達にも関わらずいまだ特異的な遺伝子異常が同定されていない皮膚腫瘍においては、通常の変異とは異なる、融合遺伝子が関与している可能性がある。
これらの病変における融合遺伝子の同定を進める本研究は、様々な皮膚腫瘍における病態の解明のみならず、診断・治療の面でも臨床医学へのインパクトを有すると考えている。例えば、それぞれの腫瘍に特異的な融合遺伝子が同定できれば早期の確定診断に有用で、また各腫瘍においても融合遺伝子を阻害することができれば、特異的で侵襲や副作用の少ない全く新しい治療戦略となりえる。
杉浦 一充(藤田保健衛生大学 教授) 500万円
膿疱性乾癬の革新的治療法の開発
研究代表者らはIL-36Ra欠損マウスにToll様受容体4(TLR4)のリガンドであるリポ多糖を皮下注することで発症するGPPモデルマウスを開発し特許出願した(Shibata A, Sugiura K, et al. J Autoimmun 2017)(関節症性乾癬モデル動物及び膿疱性乾癬モデル動物(特開2017-55680))。さらにTLR7のリガンドであるイミキモド塗布でもGPPと類似の病態を作成することに成功した。以上、2種類のマウスモデルを有している。GPPに対しては、様々な生物学的製剤が使用されているが、より病因に基づいた、あるいはより安価な治療法の開発が望まれている。本研究では、IL-36Ra欠損によるGPPの革新的治療法の開発に直結する基礎的データを得ることを目的とする。
河野 通良(東京歯科大学市川総合病院 講師) 250万円
日本人掌蹠膿疱症患者の口腔マイクロバイオーム解析データの蓄積
掌蹠膿疱症は手掌、足底に無菌性膿疱を生じる炎症性皮膚疾患であり、口腔内の病巣感染が関与すると考えられている。本研究では掌蹠膿疱症患者の口腔マイクロバイオーム解析を行う。12名の患者と10名の健常コントロールの唾液の細菌叢を解析した予備実験では、患者において口腔マイクロバイオームの変化が認められた。これまで腸管を中心としたマイクロバイオーム研究により各国で蓄積されたデータから、ヒト常在細菌叢は国、地域によって異なり、海外の研究データを日本人の研究には適用できないことがわかってきた。掌蹠膿疱症は日本人に多く見られる疾患であり、日本人掌蹠膿疱症患者の口腔マイクロバイオーム解析データの蓄積は大きな意義を持つ。本研究では、掌蹠膿疱症研究を行っている病院、大学と共同研究を行い、200~300例の患者検体を解析し、日本人掌蹠膿疱症患者の口腔マイクロバイオーム解析データの蓄積を目指す。
夏賀 健(北海道大学病院 講師) 250万円
皮膚を始点としたロコモティブシンドローム予防策の開発
人間は、1歳前後から老年に至るまで歩行を継続する生物である。ロコモティブシンドロームは、歩行障害を契機として寝たきりになりやすい状態を総称し、主に加齢に伴った筋肉や骨の異常が関わるとされる。しかしながら、歩行を規定する足底という荷重部皮膚は見過ごされてきた。足底では、鶏眼(けいがん、ウオノメ)や胼胝(べんち、タコ)といった皮膚障害の出現が歩行の妨げとなり、ロコモティブシンドロームの嚆矢となる。本研究は、足底表皮機能異常の病態解明のために疾患モデルを作成し、ロコモティブシンドロームの予防へとつなげることを目的としている。
藤澤 康弘(臨床と基礎の融合を目指した皮膚腫瘍研究会、筑波大学 講師) 250万円
タキサン系抗癌剤無効の皮膚血管肉腫を対象とした微小管阻害剤であるエリブリンの効果を評価する前向き観察研究
現在血管肉腫治療におけるキードラッグとなっているタキサン系抗がん剤は、薬剤抵抗例や末梢神経障害による投薬の中断・中止等の問題が出ている。そこで、タキサン系と同様に微小管重合を阻害することで薬効を発揮するが、微小管への結合機序が異なるエリブリンが有効であるかを検討する臨床研究を計画した。少数例の検討ではあるがタキサン抵抗例でエリブリンが奏効した症例が出ており、また国内第2相試験の結果では末梢神経障害の発生率はパクリタキセルと比較して半分以下とされることから、有効性が証明されれば今後の治療が大きく変わる可能性がある。すでに臨床研究のエントリーは開始しており、統計学的に必要とされる目標症例数35症例に向けて登録作業を進めている。平成30年末までには目標症例数のエントリーを終了し、平成31年末までに奏効率や予後の検討および付随研究の結果を公表出来る様に参加施設一同、鋭意努力している。
茂木 精一郎(群馬大学大学院医学系研究科 准教授) 250万円
間葉系幹細胞由来エクソソームを用いた褥瘡の発症を予防する新規治療法の開発
褥瘡は皮膚潰瘍が生じる前の「急性期褥瘡」と生じた後の「慢性期褥瘡」に分類される。褥瘡の発生直後は紅斑や紫斑を呈するが、組織壊死が進行し皮膚潰瘍が出現するまでには1~3週間かかり、この時期を「急性期褥瘡」と呼ぶ。急性期褥瘡を発見した時点では減圧・除圧以外に効果的なエビデンスのある治療法は確立されていない。この急性期褥瘡の機序を明らかにし、組織障害の進行を防ぐ治療法を開発できれば、その後の潰瘍の発生、拡大を防ぐことができる画期的な治療・予防が期待できる。
我々は、皮膚虚血再還流障害によって皮膚潰瘍が生じる「急性期褥瘡モデルマウス」を用いて褥瘡の病態解明と新たな治療法の開発を目指した研究を行っている。
我々は、間葉系幹細胞(MSC)の皮下投与によって急性期褥瘡部位に生じる血管傷害や低酸素による酸化ストレス、小胞体ストレスが抑制され、皮膚潰瘍の形成が抑制されることを明らかにした。そこで、次にMSCから分泌されるエクソソームに注目し、急性期褥瘡に対するMSC由来エクソソームの治療効果について検討し、機序を解明したい。
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